Notes
ハーグはオランダの政治的首都であると同時に、王室、国際司法、そして独自の美術史を体現する都市である。この街はヨハネス・フェルメールとレンブラント・ファン・レインの作品を収蔵するマウリッツハイス美術館の所在地であり、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』とレンブラントの『テュルプ博士の解剖学講義』はこの美術館の中核をなす作品として知られている。19世紀にはハーグ派と呼ばれる画家集団がこの街を拠点に活動し、ヤコブ・マリスやアントン・マウフェらが写実的な風景画・風俗画で知られた。20世紀に入ると、モンドリアンやテオ・ファン・ドゥースブルフらが関わった新造形主義運動「デ・ステイル」とも深い結びを持ち、ハーグ市立美術館(ゲメーンテ美術館)はモンドリアン作品の世界最大級のコレクションを有することで知られている。
現代のハーグの文化的景観は、こうした過去の遺産と現代美術・音楽が共存する形で構成されている。ゲメーンテ美術館に隣接するフォトミュージアム(写真美術館)やGEMなど、現代美術・写真を扱う施設群が同じ複合施設内に存在する。音楽面では、レジデンティ管弦楽団(Residentie Orkest)がこの街を拠点とするオーケストラとして知られ、ノルデインデ劇場やコーニンクレイケ・スホウブルフといった劇場が舞台芸術の中心となっている。国際司法の街としての性格上、平和宮(Vredespaleis)も文化的・建築的ランドマークとして街のアイデンティティに組み込まれている。
海辺の地区スヘフェニンゲンは、保養地としての歴史的性格を持ちながら、現代では市民の余暇文化の一部を担っている。全体として、ハーグはフェルメールやレンブラントに代表される黄金時代絵画からハーグ派、デ・ステイルへと連なる美術史の厚みを持ちながら、王室都市・国際都市としての落ち着いた性格の中に美術館群と舞台芸術が息づく街だと言える。