Notes
ロッテルダムは、オランダ第二の都市であり、その文化的アイデンティティを1940年のドイツ軍による大空襲からの都市再建の中に築いてきた都市である。旧市街の大半を失ったこの破壊は、結果としてロッテルダムを歴史的建築の保存都市ではなく近代建築とアーバンデザインの実験場に変え、都市そのものが建築文化の展示場としての性格を帯びるようになった。この再建の過程で生まれた実験精神は、キューブハウス(Kijk-Kubus)を手がけたPiet Blomのような建築家たちの仕事にも表れ、都市の外観そのものが文化的言説の対象となってきた。美術の領域では、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館(Museum Boijmans Van Beuningen)が中世から現代までの絵画コレクションを収蔵する主要機関として、ロッテルダムの美術史における中心的役割を担ってきた。
現在のロッテルダムの文化的景観も、この「再建都市」としての性格を色濃く反映している。市内には現代建築の象徴であるキューブハウスや、エラスムス橋(Erasmusbrug)といったランドマークが点在し、都市計画・建築そのものを鑑賞対象とする散策が可能である。ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館は今日も市の中心的な美術施設であり続けている。映画文化においては、国際映画祭であるロッテルダム国際映画祭(International Film Festival Rotterdam, IFFR)が、実験的・独立系の映画を紹介する場として国際的に知られている。
音楽の分野では、デ・ドゥーレン(De Doelen)がコンサートホールとして市の音楽生活の拠点となっており、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(Rotterdams Philharmonisch Orkest)の本拠地としても機能してきた。こうした美術館、建築的ランドマーク、映画祭、コンサートホールが組み合わさることで、ロッテルダムは破壊からの再生を出発点としながら、現代的で実験的な芸術都市としての現在の姿を形作っている。