Notes
パリはフランスの首都であり、数世紀にわたり西洋の美術・文学・哲学の中心地としての役割を担ってきた都市である。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、モネ、ルノワール、ドガらによる印象派、続くセザンヌやゴーギャン、ゴッホらの後期印象派、そしてピカソやブラックが牽引したキュビスムがこの街で展開し、モンマルトルとモンパルナスは画家たちが集うアトリエと酒場の街区として知られた。文学の領域では、ヘミングウェイやフィッツジェラルドといった「ロスト・ジェネレーション」の作家たちが戦間期のパリに集い、シェイクスピア・アンド・カンパニー書店がその交流の拠点となった。哲学と文学の分野ではサルトルやボーヴォワールら実存主義の思想家たちがサン=ジェルマン=デ=プレのカフェを舞台に議論を交わし、ルーヴル美術館やオルセー美術館は各時代の美術遺産を収蔵する殿堂として整備されていった。
音楽と舞台芸術の面では、パリ・オペラ座(オペラ・ガルニエ)がバレエとオペラの伝統を担い、20世紀にはエディット・ピアフに代表されるシャンソンがカフェやミュージックホールで花開いた。映画史においては、リュミエール兄弟がこの街で映画上映を行ったことに始まり、1950年代末から60年代にかけてはゴダールやトリュフォーらによるヌーヴェルヴァーグがフランス映画に新たな文法をもたらした。
現代のパリの文化的景観は、ポンピドゥー・センターに代表される近現代美術の拠点と、ルーヴルやオルセーといった伝統的美術館群が共存する形で成り立っている。マレ地区やバスティーユ周辺は現代アートのギャラリーが集積するエリアとして知られ、街の随所に残る書店や映画館は今も文学・映画文化の日常的な受け皿となっている。パリ・オペラ座は今日もバレエとオペラの公演を継続しており、都市の演劇・音楽シーンの中核であり続けている。